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文化財修復

唐門修復情報 彩色工事vol.3「掻き落としから箔押しまで」

掻き落としから箔押しまで(2019年6月~2020年8月実施)

 彫刻彩色の状態に合わせて、彫刻刀やブラシなどを用いて掻き落としを行います。前回(昭和55年)修復時の堅牢けんろうな漆下地やより古い塗膜、刻苧こくそ※1等が遺存している箇所は掻き落とさずに保存をします。

 掻き落としを終えたら、損傷箇所の補修・補強をします。彩色部分と彫刻部分に裂傷防止として、生漆をすり込む木地固めと木地の状態に合わせて絵具の吸い込みを防ぐために礬水どうさ※2を数回塗る滲み止めを行い、金箔を押していきます。

 箔押しは、箔押しを行う範囲に生漆を塗布して箔下漆を塗り、金箔を押したら金箔の上に礬水を塗ります。

 箔押し後は、彫刻全体に胡粉ごふん※3を塗っていきます。

※1 刻苧 : 生漆・米糊・欅粉(けやきこ)・綿を混ぜたもので、傷んだ箇所の補修を行うために使用します。
※2 礬水 : 膠水(にかわすい)とミョウバンを混合した水溶液です。書画などに用いる紙や布、木に塗布し、絵具の滲み止めに用います。
※3 胡粉 : 貝殻を砕いてできた白色顔料で、発色を良くするための下地や仕上げ用など様々な用途で使用されます。

掻き落とし作業

漆塗り作業

漆塗り作業後

箔押し作業後

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